外部サイトへ移動します

今週の本棚：持田叙子・評 『おもかげ』＝浅田次郎・著 - 毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20180107/ddm/015/070/027000c2018年1月7日 ... 他人に頭を下げて生きた。世間でいっぱい恥をかいた。常識やマナーは自分で学んだ。 四十四年間働きづめ。僕の人生は、時代や親に背負わされた借金を返しただけか。死を前に、そんな悔しい割り切れぬ思いもある。 ゆえに彼は夢うつつの中でおもかげを追う。 たとえば初恋の少女。劣等感から魔がさし、大切な人をみずから捨てた。そして母、まだ見ぬ最もうつくしい女性のおもかげ－－。 臨死に特有の幽体離脱を駆使し、竹脇は何度も優しく母性的な女性とデートする。華やかで哀切な浅田マジックだ。

取得: 2018-01-30